このカテゴリで分かること

日本の民法には嫡出推定という仕組みがあり、婚姻中に生まれた子は夫の子と推定されます。この推定は血縁の確認を前提にしていないため、生物学上の父と戸籍上の父が一致しない事態が生じえます。このカテゴリでは、そうした場合に何が起きるのかを扱います。推定を覆すための嫡出否認の手続きと出訴期間、推定が及ばない場合の親子関係不存在確認、DNA鑑定の結果が法的にどこまでの意味を持つのか、養育費や慰謝料はどう扱われるのか。いずれも、条文と裁判所の判断にもとづいて整理しています。

俗語ではなく、制度の言葉で調べる

この分野の情報は、ネット上では俗語で語られることが多く、法的に誤った説明が広く流通しています。「DNA鑑定をすれば親子関係は消える」「時効まで待てば安全」といった説明は、いずれも正確ではありません。正確な情報にたどり着くには、嫡出推定、嫡出否認、親子関係不存在確認といった制度の言葉で調べる必要があります。当カテゴリの記事では、俗語で検索してきた方が制度の言葉にたどり着けるよう、両方を対応させながら説明しています。

期間の確認を最優先に

この分野で最も取り返しがつかないのが、期間の経過です。嫡出否認には出訴期間があり、これを過ぎると、科学的に血縁がないことが明らかであっても法律上の親子関係を争えなくなります。最高裁もその趣旨の判断を示しています。一方、慰謝料の請求権は別の期間で判断されるため、片方が過ぎていてももう片方が残っていることがあります。また、制度は近年改正され、期間が伸び、申立てができる人の範囲も広がりました。古い情報のままでは判断を誤ります。判断の前に、必ず弁護士や法テラスに確認してください。

なぜこのサイトがこの話題を扱うのか

当サイトは、精子提供や選択的シングルマザーを検討する方に向けた情報を扱っています。一見すると別の話題に見えますが、法律上の論点は大きく重なります。「子どもの法律上の父は誰になるのか」「血縁と法律上の親子関係はどう違うのか」「子どもが将来、自分の出自を知る手がかりを持てるか」。これらの問いは、提供によって子どもを持つ場合にも、血縁と戸籍がずれた場合にも、同じように現れます。なお、提供による妊娠は当事者の合意のうえで行われるものであり、同意なく事実を伏せることとは性質が根本的に異なります。この区別は、各記事のなかでも明示しています。

このカテゴリの読む順番

まず「割合の検証」で、この話題に流通している数字が実際とどれくらいずれているかを確認してください。次に「時効・期間の整理」を読むことをおすすめします。この分野では期間の経過が最も取り返しがつかず、ここを押さえておくと、他の記事の内容も判断しやすくなります。そのうえで、自分の状況に近い記事へ進んでください。婚姻前に妊娠していた場合は「デキ婚の場合」、事実が判明したあとであれば「判明したあとに起きること」、金銭の問題であれば「慰謝料」と「養育費」の記事があります。そして、子どもがいる方には「子どもの立場から」を必ず読んでいただきたいと考えています。